第四話
【翔斗】「早田はおまえを親友だと思ってるんだ。裏切ってるのはおまえのほうだろ!」
弥生のことを不憫に思った俺は、そう言って今野を問い詰めた。
【美咲】「なんであんたに責められなきゃいけないのよ。まあいいわ。
そう言うなら、これから正直にあの子を嫌ってやるよ。それでいいでしょ!」
それから今野は、露骨に弥生を嫌うようになった。
結果、弥生はグループからはじき出されて、いつも独りでいるようになってしまった。
【翔斗】「なあ早田、高校生活も残りわずかだ。
グループから外されても、これから受験に向けて勉強すればいい。
面倒な付き合いがなくなった分、ラクになったとポジティブに考えよう。
俺も一緒にがんばるから、一緒に大学に行こう」
【弥生】「…うん。そうだね。がんばったほうが勝ちだもんね」
弥生はさすがにショックを隠せないようだった。
しかし、大学に進むまでの辛抱だ。残り少ない期間、受験に向けて集中すればいい。
一緒にがんばって、一緒の大学に行こう。
…なんてことを言って励ましてる俺が落ちたら、シャレにならない。
いよいよマジにならねばいけなくなった。
【陽介】「おまえ、このごろ本当にマジになってるよな」
【翔斗】「ああ。なにしろ早田がぼっちになる決定打をやってしまったのが俺だ。
俺があいつについて行けないようなら、今度は、俺があいつを裏切ることになる」
【陽介】「はぁ…これで、最初から就職志望の俺は完全に置いて行かれるなぁ。
ま、俺のほうは小さな会社だけど市内で内定もらったから、それで満足だけどね」
【翔斗】「おまえに内定を出す会社か…。
よっぽど嫌われて、誰も入社してくれなくて、ワラをもつかむ思いだったんだな…」
【陽介】「俺はワラかよっ!」
弥生も勉強に打ち込んでいた。
俺はそれ以上にがんばらなければ、合格はとてもおぼつかない。
努力すれば、なるほど成績は伸びていった。それでも弥生にはまだまだ及ばない。
そんな努力に水を差す嫌な奴がいる。
【美咲】「難波君も頑張ってるようだけど、どうせ無理に決まってるんだから。
弥生はあんたよりは望みがあるけど、どうせ二人仲良く落第ね」
あいかわらずムカつく奴だ。
【翔斗】「そう言うおまえはどうなんだ。俺とあんまり成績変わらないくせに」
【美咲】「私? 私は県外で就職決まってるよ。おばさんちに下宿してね」
今野の就職が決まっているとは意外だった。
今の俺は、合格可能性が無いわけではない。
今野の成績は、そんな俺より少しは良いから、大学か専門学校あたりは受けると思っていた。
そうこうしているうちに、とうとうセンター試験の日がやってきた。
俺と弥生の受ける地元国立大は、センター試験でほぼ合否が決まると言ってもいい。
弥生の受ける国際社会学部は、二次試験の英語の配点もかなり高いが、
俺のほうは文学部で、センター試験で決定的に決まる。
案の定というかなんというか、俺は苦戦した。
もともと到底無理な成績から、ボーダーラインまでのしあがったのだ。
我ながらよくがんばったものだが、ここで落ちては何にもならない。
「次の選択肢のうち正しいものを一つ選べ」
「ア」~「オ」の五択のうち、三つまでは間違いだということが分かった。
しかし、「ウ」と「オ」のどちらが正解なんだ…。
両方正解らしく見えて、いくら考えても分からない。
【翔斗】「よしっ、ここは両方正解とみなして、二つともマークしよう!」
…ってそんなことしたら自殺行為じゃん俺。どっちか選ばないといけないだろ。
今の俺は、たった一問の正解・不正解が、合否を分けるかもしれないのだ。
【翔斗】「ああああ…どっちだ…どっちを選べばいいんだああああ!」
(どちらを選ぶか?)
「ウ」を選ぶ
「オ」を選ぶ
弥生のことを不憫に思った俺は、そう言って今野を問い詰めた。
【美咲】「なんであんたに責められなきゃいけないのよ。まあいいわ。
そう言うなら、これから正直にあの子を嫌ってやるよ。それでいいでしょ!」
それから今野は、露骨に弥生を嫌うようになった。
結果、弥生はグループからはじき出されて、いつも独りでいるようになってしまった。
【翔斗】「なあ早田、高校生活も残りわずかだ。
グループから外されても、これから受験に向けて勉強すればいい。
面倒な付き合いがなくなった分、ラクになったとポジティブに考えよう。
俺も一緒にがんばるから、一緒に大学に行こう」
【弥生】「…うん。そうだね。がんばったほうが勝ちだもんね」
弥生はさすがにショックを隠せないようだった。
しかし、大学に進むまでの辛抱だ。残り少ない期間、受験に向けて集中すればいい。
一緒にがんばって、一緒の大学に行こう。
…なんてことを言って励ましてる俺が落ちたら、シャレにならない。
いよいよマジにならねばいけなくなった。
【陽介】「おまえ、このごろ本当にマジになってるよな」
【翔斗】「ああ。なにしろ早田がぼっちになる決定打をやってしまったのが俺だ。
俺があいつについて行けないようなら、今度は、俺があいつを裏切ることになる」
【陽介】「はぁ…これで、最初から就職志望の俺は完全に置いて行かれるなぁ。
ま、俺のほうは小さな会社だけど市内で内定もらったから、それで満足だけどね」
【翔斗】「おまえに内定を出す会社か…。
よっぽど嫌われて、誰も入社してくれなくて、ワラをもつかむ思いだったんだな…」
【陽介】「俺はワラかよっ!」
弥生も勉強に打ち込んでいた。
俺はそれ以上にがんばらなければ、合格はとてもおぼつかない。
努力すれば、なるほど成績は伸びていった。それでも弥生にはまだまだ及ばない。
そんな努力に水を差す嫌な奴がいる。
【美咲】「難波君も頑張ってるようだけど、どうせ無理に決まってるんだから。
弥生はあんたよりは望みがあるけど、どうせ二人仲良く落第ね」
あいかわらずムカつく奴だ。
【翔斗】「そう言うおまえはどうなんだ。俺とあんまり成績変わらないくせに」
【美咲】「私? 私は県外で就職決まってるよ。おばさんちに下宿してね」
今野の就職が決まっているとは意外だった。
今の俺は、合格可能性が無いわけではない。
今野の成績は、そんな俺より少しは良いから、大学か専門学校あたりは受けると思っていた。
そうこうしているうちに、とうとうセンター試験の日がやってきた。
俺と弥生の受ける地元国立大は、センター試験でほぼ合否が決まると言ってもいい。
弥生の受ける国際社会学部は、二次試験の英語の配点もかなり高いが、
俺のほうは文学部で、センター試験で決定的に決まる。
案の定というかなんというか、俺は苦戦した。
もともと到底無理な成績から、ボーダーラインまでのしあがったのだ。
我ながらよくがんばったものだが、ここで落ちては何にもならない。
「次の選択肢のうち正しいものを一つ選べ」
「ア」~「オ」の五択のうち、三つまでは間違いだということが分かった。
しかし、「ウ」と「オ」のどちらが正解なんだ…。
両方正解らしく見えて、いくら考えても分からない。
【翔斗】「よしっ、ここは両方正解とみなして、二つともマークしよう!」
…ってそんなことしたら自殺行為じゃん俺。どっちか選ばないといけないだろ。
今の俺は、たった一問の正解・不正解が、合否を分けるかもしれないのだ。
【翔斗】「ああああ…どっちだ…どっちを選べばいいんだああああ!」
(どちらを選ぶか?)
「ウ」を選ぶ
「オ」を選ぶ
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