俺の名は、難波翔斗。平凡な高校に通う三年生だ。
三年生といえば進路を決めなければならない、非常に大切な時期だ。
だから俺はいまだに遊びほうけていた。
どこが「だから」なのかは、深く考えないようにしよう。
そう思った。
【翔斗】「うん、今日もいい天気だぜ!」
わざとらしいセリフを吐きながらも、俺の気持ちはどんより曇っていた。
そう、今日は、恐怖の三者面談がある。
進学か就職かを最終的に決めなければならない。
ちなみに俺の成績は、天才的な頭脳のおかげで最悪だった。
大学受験ともなると、これから受験までの期間、相当な覚悟で勉強しなければならない。
就職を選ぶなら勉強は適当にやってればいいが、就職活動をしなければならない。
ちなみに、親は勉強して大学に行けとうるさい。
受験しても受かる保証はないのに、浪人は許さないと言う。
私立は金がかかるからダメだ。
まったくうちの親は、俺の天才的な頭脳で国公立に受かるとでも思ってるのだろうか…。
しかし勉強する価値はある。
なんと言っても、俺の彼女である早田弥生が、地元の国立大学を志望している。
彼女は相当に成績がいいから、きっと受かるだろうと言われている。
俺も同じ大学に行ければ、きっとパラダイスだ。
念のため言っておくが、弥生のほうは、俺を彼氏と思っていない。
まあ、友達とは思ってくれていると確信している。
この「確信している」という言葉、政治家が言うと全く信用できないのだが、
俺は政治家じゃないからいいのだ。よくある設定の幼なじみと思ってほしい。
俺の親友である北島陽介は、俺以上の頭脳を持っているらしく、
入学したときから進学など一度も考えたことのない決断力と成績である。
【陽介】「おい翔斗。おまえ、まだ進学か就職か決めてないんだって?」
初めから片方の可能性の無い奴が、偉そうに俺に聞いてきた。
【翔斗】「陽介か。おまえは悩む必要のない成績で、本当にうらやましいよ」
【陽介】「ふっ、まあな。その点、俺が恵まれてることは認めるよ」
どうやら、こいつには皮肉が通用しないらしい。
【陽介】「今日の三者面談で、最終的に進路を決めるんだぞ。おまえ、決めてるのか?」
【翔斗】「も、もちろん決めてるさ。ずいぶん悩みはしたが、ついに決断した」
【陽介】「ふーん。で、どっちを選ぶんだ?」
【翔斗】(どちらかを選択)
「これから頑張って大学を目指してやるんだ」「まあ俺に進学は難しいだろうから、就職を選ぶよ」